2009年9月27日日曜日

子ども手当の意味するもの

「一人口は食えぬが二人口は食える」という、今の若い人も多分そんな思いはあるに違いない。それなのに「子供には苦労をかけたくない」「十分な教育を受けさせられるか自信がない」という不安があって結婚に踏み切れない側面が相当強いのではないか。

経済協力開発機構(OECD)の「図表で見る教育09年版」によると日本の06年の公的財源からの教育支出の対国内総生産(GDP)比は33%(OECD平均は49%)で比較可能な28カ国中ワースト2位、公私合わせたすべての教育支出に占める私費割合は333%と韓国(412%)に次いで2番目に高かった。この事実は上に書いた若い人の不安を裏付けていないか。考えてみれば戦後60年の間に、以前は家庭が負担していたいろいろの機能を社会化してきた。医療、介護、老後の暮らし、そして教育の一部など。その結果高齢者の負担は随分軽減されたのに比べ若年層のそれは相対的に重くなっている。特に子育ては親の当然の責任として殆んど全て自己負担とされている。

今回の衆議院総選挙で民主党が圧勝した。バラマキ公約のマニフェストのお陰だと一部で言い募る向きもあるがそうだろうか。(1)中学卒業までの子ども一人に月額26千円の「子ども手当」を支給する。(2)公立高校を実質無償化し、私立高校生の学費負担を軽減する。(3)ほぼ自己負担なしに出産できるようにし、出産一時金を最大55万円支給する。(4)保育所の待機児童を解消する。(5消費税を財源とする「最低保障年金」を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。
 これらの施策から見えてくる日本の将来像は、安心して子供が生め、一人の子供に約500万円の「子ども手当」が支給されるので高校の無償化も併せればそこそこの教育を受けさせることができる。これだけでも結婚後の生活設計はかなり明確に描けるようになる。

少子化による人口減少の解消は我が国経済の成長を維持するための最重要課題である。上記の諸施策は決してバラマキではない、コミットメント―必達目標である。