2010年9月13日月曜日

花火とBBQと

 さすがの炎暑にも翳りが見え長かった今年の夏もようやく終わりそうな気配である。あんなに勢いよく繁茂していた夏草が急に萎れだしたのは不思議だ。
 
公園のゴミ拾いをしていて一番面倒なのはタバコの吸殻と花火の燃えカスだ。吸殻は捨て場所がテンデンばらばらで草叢の中だったりするとつい見落としてしまう。花火の方は線香花火の芯棒が細く薄い紙になっていて摘みにくい。通りがかりの散歩の大人たちが「大変ですね。子どもらも持って帰ればいいのにね」と気を使って声を掛けてくれるが「花火をする場所がありませんからねえ」と返すと無言で去っていく。
 納得のいかないことがある。市役所は市内に打ち上げ花火を許可している場所はないという。それなのに花火(大概セットになっている)を買えばほとんど打ち上げ系が入っている。手にしたらしたくなるのが人情だ。ついつい公園や河川敷でやってしまって大人たちに叱られてしまう。これでは子どももたまったものではないだろう。
 役所とすれば販売を禁止することはできないというに違いない。しかし本当にそうだろうか。迷惑防止条例違反や何やらでカラオケ騒音も禁止できたではないか。市内販売禁止にして、その代り
夜使われていない競馬場の駐車場でも開放して思いっ切り子どもたちに打ち上げ花火をさせてやればいい。勿論花火はその場で売る。要は子ども(当事者)の立場で考えるという視線が乏しいということではないか。

 バーベキュー(BBQ)騒動も発想は同じだ。BBQの道具はどこでも売っているし家庭でするものまで禁止することはできない。ここで思考が停止している。川崎市では多摩川の河川敷を有料で解放したがゴミの散乱は防止できずその処理費用に750万円を要したという。ではどうすればいいか。有料にして更に道具を持ち込み禁止にし貸出し制にする(保証金を5千円位徴収する)。ゴミ袋を道具と一緒に渡して返却時に分別したゴミを回収する。こうすれば大よそのゴミは回収できるに違いない。監視員も無料のボランティアに頼らず地域の方をアルバイトに雇う方が効果が上ろう。
 
 以上は私見で不完全なものだが、要は『売る→買う→使う→捨てる』というサイクルのどこで歯止めをかけるかということである。『売る』は不可侵の領域と捉えているところに問題がある。

 売るのが一番悪いという見方が『豊饒の時代』には必要なのではないか。

2010年9月6日月曜日

独法は誰のもの

 先日某独法(独立行政法人)の西日本支社長就任会見に同席した。これまで天下りの指定席であったのを民間登用した最初の人材だったので大いに期待を持って臨んだが見事に裏切られた。事業仕分けで厳しい評価を受けた独法だから民間感覚で組織の建直しに意欲満々な姿勢が窺えるかと思っていたのだが、微塵もそんな様子はなく、彼にとっての定年退職後の単なる再就職先でしかないことがあからさまに分かる会見であった。
 
 天下り規制に関しては今もう一つ問題がもち上がっている。各府省の幹部職員、特に40~50代の職員の滞留を解消するために政府が6月に決めた「退職管理基本方針」によって実施されようとしている「各府省の幹部職員を独法の役員や民間企業に出向させる人事」がそれだ。行き場を失った幹部を救済する失業対策のような交流人事であり、このままでは天下り規制の形骸化と官民癒着に繋がる危険性が高いと危惧されている。

 天下りの弊害は言い尽くされているから民間登用へのプロセスは理解できるが、登用の仕組みは万全だろうか。そもそもこの問題を『上からの視点』ではなく『下からの視点』で見る必要もあるのではないか。独法などの政府系機関のプロパー(生え抜き社員)の立場にすれば、幾ら頑張ったところでトップなどの幹部職員が天下りや民間など外部から来ることが決定付けられているのでは意欲が湧かないのも当然であろう。しかも仕事内容を熟知しない外部からの幹部が任期中(2~4、5年)にできることはそんなに多くないし継続性にも疑問があるから、組織にとって良いことは殆んどない。それなら思いきって『プロパー重視』に切り替えてはどうだろう。勿論組織としての設立動機の必要性を不断にチェックし目的達成度を厳しく判定する、独法等管理規則を定めて必要性と費用対効果の判定を適格に行う体制を作るべきことはいうまでもない。

 独立行政法人には明確な設立動機があったはずである。その目標を効率的に達成するために最も必要なことはその組織で働く職員の意欲であり高いインセンティブである。だとしたら幹部職員を含めてプロパーの実力が正しく反映される組織であらねばならない。
 『天下り規制』という上からの視点ではなく正統な組織理論に基づいて独法を見直す必要を強く感じる。